今回ご紹介するのは、ドイツの老舗音響メーカーbeyerdynamicから、長きにわたって販売されている、国内では少しマイナーなモニター用ヘッドホンDT150です。
ネット上でDT150を、やたら持ち上げる人達がいるので前々から気になっていたのですが、他のbeyerdynamicのヘッドホンとは違って、国内では販路が限られていたため買えずにいました。ですが、最近サウンドハウスでbeyerdynamic製品の値下げが行われ、DT150は5000円ほど値段が下がって、15000円になっていたので購入してみました。
開封

パッケージはご覧の通り、ほぼ真っ白です。
たしか、SONYのモニターヘッドホン MDR-CD900STのパッケージもこんな感じでした。
DT150は、MDR-CD900STと同じく業務用機なので、凝ったパッケージは必要ない、ということなのでしょう。

中身を開けてみると、最近の製品のような凝った演出は一切ナシ! さすがは業務用機種!
DT990 PROのようにキャリングポーチが付属することはなく、中に入っていたのはヘッドホン本体と、それに接続するためのケーブル類だけです。
ケーブルは少し特殊

DT150と接続するためのケーブルです。ネジが1本付属しますが、これは本体とケーブルを接続するときに使います。
DT990 PROとは違い、カールコードではなくストレートタイプのケーブルです。現場で一体どんな使い方をするのか分かりませんが、ケーブルがクソ長いです。この長さはホームユースでは使いにくい…
beyerdynamic ( ベイヤーダイナミック ) / 902625
DT150用のコネクタが、サウンドハウスで売られているので、ちょうどいい長さのケーブルを自作してみるのもいいかもしれません。

プラグはDT990 PROと同じく、ねじ切り式になっていて、ミニプラグから標準プラグに変換することができます。

ヘッドホンと接続する端子が特殊な形状をしています。自分は、このタイプの端子を初めて見るのですが、ベイヤー独自の規格なのでしょうか?
レトロなデザインの本体

DT150の本体です。レトロな見た目…というか実際、DT150はレトロな機種です。
発売から数十年デザインの変更もなく、今日まで現行機種として販売され続けているため、時代を感じさせる仕様になっています。

ハウジングは梨地仕様のプラスチック製です。
プラスチック製なので高級感はありませんが、業務機なだけあって頑丈そうです。

今出回っているほとんどのヘッドホンは、大きさの調節をするとき、カチカチと1段階ごとに調節できるようになっていると思いますが、DT150に段階調節はなく、シームレスに長さの変更を行います。

ヘッドバンド部分は、DT990 PROと同じく鉄でできています。
DT990 PROはむき出しの鉄をカバーで覆う作りになっていましたが、DT150は、鉄の部分をゴムのような素材で覆っています。
ヘッドバンドの太さは、DT990 PROと比べると大分細めです。

ケーブルと接続する端子は右側にあります。
DT150は片出しコードのヘッドホンになるのですが、同社のDT990 PROも含め、ほとんどの片出しタイプのヘッドホンは、左側からコードが出ている仕様になっているのに対し、DT150は右側からケーブルが出る仕様になっています。
何で右側からケーブルが出る仕様になっているのかは謎ですが、DT150の発売当時は、そっちが主流だったんでしょうか?
ケーブルの接続にはマイナスドライバーが必要

DT150は、ケーブルを接続するときに、ネジで固定する方法がとられています。


ケーブルの穴にネジを通して、本体のネジ穴にネジをハメて止める形になります。
おそらく、レコーディング中に絶対にケーブルが外れることがないように、こんな止め方をしているんだと思います。
ネジを締めるのにマイナスドライバーが必要でしたが、自分はカッターの刃で締めました。
装着感
装着感に関しては、耐えられないほど悪い! というほどではありませんが、決して良いとは言えません。頭を少し動かしただけでズレてしまいます。

現行機種のヘッドホンと比べると、ヘッドバンドの密着感が少なく、頭頂部にだけヘッドバンドが触れる形になるので、長時間つけていると頭が痛くなります。

イヤーパッドは硬めで、合皮製のソファーを耳に当てているような感じがします。イヤーパッドが耳に当たる面積が大きく、イヤーパッドが硬めなのもあって、触れている部分が痛くなります。
それと、今まで所有してきた密閉型ヘッドホンの中では1番蒸れます。
重量自体はDT990 PROやHD599と同じ重さですが、フィット感が悪いので重く感じてしまいます。長時間つけているのは少し厳しいです。
音質
音の傾向は、暖色系の柔らかく優しい音で、DT990 PROの冷たく鋭い音とは正反対の音です。
本機は密閉型ですが、音場が広く、刺激の少ない音のため、長時間聞いていても聞き疲れをしません。
聞き疲れのしない音が本機の魅力ではありますが、ロックなどの激しい曲では、その特徴が逆に欠点になり、刺激が足りなく感じることがあります。
最後に
購入当初は、音が遠いせいで解像度が低く、聞きにくいと思っていましたが、DENONのAH-D1100と同じ音量で聞いていたのが原因でした。本機は、インピーダンスが250Ωで、アンプの使用を前提とした設計なので、ヘッドホンアンプのない環境では音量が取れなくて、実力を発揮できません。
ヘッドホンアンプが必要な点や、長すぎるケーブルや装着感の悪さなど、ホームオーディオでの使用には不便な点が多々ありますが、業務用なだけあって、交換用のイヤーパッドや部品も販売されているので、末永く使えるという安心感があります。
beyerdynamic ( ベイヤーダイナミック ) / 931532 DT150用イヤーパッド
密閉型にもかかわらず音場が広い点や、暖色系で聞き疲れのしない音が魅力的なヘッドホンでした。DT990 PROなどに比べるとマイナーな機種ですが、もっと注目されてもいいヘッドホンだと思います。
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